第2回日本ケータイ小説大賞受賞式

第2回日本ケータイ小説大賞受賞式
「第2回日本ケータイ小説大賞」の表彰式。写真(上)受賞者と審査員 左から佐野あげは、ERINA、Ayaka.、審査員の十和(作家)、reY、審査員の中村航(作家)、*R*、かな
(敬称略、ANAインターコンチネンタル東京で2007年9月27日)
◇大 賞 『白いジャージ ~先生と私~』(reY著)
白いジャージ
【写真】作家:中村航(左)、大賞受賞者:reY(右)
大賞 賞金200万円
『白いジャージ ~先生と私~』(著者:reY)

【あらすじ】
女子高生の直は、体育教師の新垣に一目ぼれ。家庭環境、友情、そして教師と生徒という立場。思い悩み、ときにはくじけそうになりながら、それでも直は新垣に思いを届ける。
【審査員:中村 航氏評)】
冒頭から弾けるセンテンスが魅力的で、衝撃を受けた。小説としての構成、人物の造形などには大いに問題があるのだが、自由に書かれた文章のひとつひとつは、良い意味で若く、愉快で、破壊力がある。その美点を僕は推した。
【審査員:十和(とわ)氏評】
独特の空気感がある。若い読者はもちろんのこと、大人が読んでも10代の頃を思い出して共感できると思う。感情を真正面から書き尽くそうとする、作者の姿勢が感じられた。

◇優秀賞『空色想い』(Ayaka.著)
空色想い
【写真】優秀賞受賞者:Ayaka.
優秀賞 賞金50万円
『空 色 想 い』(著者:Ayaka.)

【あらすじ】
中学3年生の彩花は、母の再婚で高校2年生の空と同居することに。優しい空に、彩花は次第に惹かれ、ついに空へ思いを伝える。しかし二人に待ち受けていたのは、あまりに悲しい結末だった。
【審査員:中村 航氏評】
物語としてのリアリティが感じられず(実話であるか否かはリアリティとは関係ない)、僕には推せなかった。ただいわゆるケータイ小説としてのモチーフを、きっちりと押さえており、また読者にも支持されている。その点を多くの選考委員に買われ、優秀賞に推された。
【審査員:菊地 修一氏評】
うまくいきそうでいかない恋、複雑な家庭環境からの脱出など思わず感情移入して読みました。平易な表現の中にキラリと光る言葉があり、思わず胸を打たれました。

◇優秀賞『√セッテン』(*R*著)
セッテン
【写真】作家:十和(手前) 優秀賞受賞者:*R*(奥)
優秀賞 賞金50万円
『√セッテン』(著者:*R*)

【あらすじ】
潤は数学的にものを考えがちな高校2年生。潤に告白しようとした絵里子が謎の死を遂げる。原因は携帯の「死の待受画面」らしい。謎を追う潤の前に、一つの事件が立ちふさがる。
【審査員:中村 航氏評】
筆力は選考作品中、最も高かったと思う。最後まで読者を飽きさせることなく、自覚的に物語構築されている。ただホラー小説として、またミステリー小説、あるいは恋愛小説として読むと、物足りなさが残るのかもしれない。最後まで大賞作品と受賞を争った。
【審査員:久松 猛朗氏評】
設定自体は既存のもののバリエーションともいえるが、“15”にまつわるギミックなど、謎解きの面白さを内包している。ケータイ小説の範疇にあっては意欲的であり、力作。映像化もイメージしやすい。

◇TSUTAYA 賞『ラスト・ゲーム』(かな著)
ラスト・ゲーム
【写真】TSUTAYA BOOK企画グループリーダー:高野幸生(左)、受賞者:かな(右)
TSUTAYA
【TSUTAYA賞】
『ラスト・ゲーム』(著者:かな)

【あらすじ】
 元也はバスケットボールに夢中の高校3年生。女子バスケットボール部の麻子に恋していたが、ある日、彼女が他の同級生と帰宅する姿を目撃してしまう。これが元也の、不幸の始まりだった。
【審査員:高野 幸生氏評】
一人の男子高校生の人間としての成長が、父親の死、バスケ部の仲間との友情、恋を通じて描かれている。高校生はもちろん、老若男女全てに受け入れられる青春小説の王道としてTSUTAYA賞に推した。

◇セブン-イレブン賞 『キスまでの距離』(佐野あげは著)
キスまでの距離
【写真】セブン-イレブン・ジャパン執行役員:鎌田靖(左)、受賞者:佐野あげは(右)
セブンイレブン
【セブン-イレブン賞】
『キスまでの距離』(著者:佐野あげは)

【あらすじ】
男性恐怖症の唯を見かねた幼馴染のハルは、レストランでのアルバイトを薦めてくれた。レストランの従業員シンは、突然、この夏の間だけ彼氏になると宣言する。こうして、唯とシンの夏が幕を開けた。
【審査員:山口 俊郎氏評】
主人公「唯」が遭遇するひと夏の体験を通して、若者特有の揺れ動く心情や葛藤をみずみずしい感覚で描ききった筆者の力量に敬意を表したい。中でも「過去に一体何があったのか」と読み手を引き込み、ラストまで飽きさせない構成力が見事だった。

◇JOYSOUND賞『儚い者たち』(ERINA著)
儚い者たち
【写真】エクシング代表取締役社長:土岐高広(左)、受賞者:ERINA(右)
JOYSOUND
【JOYSOUND賞】
『儚い者たち』(著者:ERINA)

【あらすじ】
高校生の空は、いつも天使のような翼を持った女の子の夢を見ていた。その子は、実は同じ学校の海羅だった。空の強引な告白から、二人の関係は始まり、海羅の過去も明らかになっていく。
【審査員:土岐 高広氏評】
高校生時代の異性への一途な思い、その思いを実現した時の歓喜、その相手を思うがゆえ別れに心を引き裂かれるほどの悲しさ・・・。自分の青春時代を重ね合わせ、物語に引き込まれた。最後の音楽のシーンも、感動的。

◇特別賞『B I T T E R 。○』(著者:秋桜)
【あらすじ】
高校2年生の麗は、クラスの対人関係や家庭問題で精神的に傷ついていた。高瀬という古文の新任教師と心の交流を深め、思いを寄せるが、ある日、彼の背負う重い過去を知ってしまう。
【審査員:菊地 修一氏評】
 実話ではないが、今の若者に共通した悩みを題材に構成され、読者が共感して一気に読み進められる。恋愛から親子関係、友情まで複雑な要素を詰め込みすぎの感はあるが、透明感ある文章で構成された力作といえる。


◇特別賞『ブラウン管の中の彼女』(著者:のらね)
【あらすじ】
幼馴染で人気者の実早に思いを寄せる祐一郎は、さえない高校1年生。子供っぽい実早に、保護者のような祐一郎は振り回されっぱなしだが、やがて二人の仲は近づいていく。
【審査員:菊地 修一氏評】
シンプルな言葉で、テンポ良く綴られていて読みやすかった。登場人物のキャラクターがハートフルな感じで立っていて、読後にホッとするような面白さがありました。


◇こども賞『ID01』(著者:ぬこ)
【あらすじ】
 ひきこもりのアキは超旧式プログラム「ディー」と5年285日間暮らし、精神的に依存状態。ある日、中古の人型ボディを購入し、プログラムを移植したところ、アキの生活にも変化が見られ始めた。
【審査員:大川 勇氏評】
 主人公をはじめ年齢は少々高めながらも、かわいらしい寓話に仕上った。無理に背伸びしたような作品が多い中、抑えた筆致で物語を進める筆者に好感が持てた。子どもたちもきっと、この物語に共感するに違いない。

◇審査員
中村 航(作家)
十和(作家、第1回日本ケータイ小説大賞大賞受賞者)
山口 俊郎(セブン-イレブン・ジャパン代表取締役社長)
山口 善輝(NTTドコモ プロダクト&サービス本部 コンテンツ&カスタマ部コンテンツ担当部長)
高野 幸生(TSUTAYA 商品本部BOOK企画グループグループリーダー)
久松 猛朗(ドーガ堂代表取締役社長)
土岐 高広(エクシング代表取締役社長)
大川 勇(毎日新聞学芸部長)
菊地 修一(スターツ出版代表取締役社長)